「い…いくよ!同時にだからね!」
「分かったからさっさとしろよ ホラいくぞ」
「あっ ちょっうあああもう せーの!」













「まーたイギリスに負けたーちくしょー!!」
「今回は頑張ってたみたいだけどねー残念だったわねー」
昼休み、教室の隅。
あたしはいつものようにの話を聞きながらお弁当を食べている。この子といるとホント退屈しないわーかわいいし面白いし分かりやすいしあほだし、いい子だし。
「…もう3連で負けた…うああーもうやだー」
「で?今回は何点差で負けたの」
「8点」
「あーそれは…まぁ、微妙な…。」
「問3にあんなに時間を費やさなければ最後まで解けたのにー…!」
問3を解かなかったらその分配点減るんだから同じじゃないの?と思ったけど、先ほど返されたテストの内容を思い出すと確かに問3は最後に回したほうが要領よく解けたかもしれない。最後の設問が実は簡単でしたーなんて先生も全くタチの悪い。
「まぁ次がんばんなさいよ」
「これ以上かー…うあーきっついなぁ、でもだんだん点差縮まってきてるし!いけるかも!」
「ふーん」
なーに言ってんだか。

勝っても負けても、イギリスに構われてるアンタめちゃくちゃ楽しそうよ?

「(…自覚はまだしてないのかしらねー)」
まぁ、あたしには関係無いし。のことだからきっと自分ではまだ気付いてないんでしょうね、なんでそんなに必死になるのか。
「じゃ、あたしドイツんとこ行ってくるから」
「おっとぉ!?最近多くないですかさん!」
「仕事よ、し・ご・と。アンタと一緒にしないでよねー」
え?と、きょとんとする。…やっぱりね、あほ。どっかのお坊ちゃまに『御馬鹿さん!』って言われるわよ?


***


「今回もを負かしてやったぜ」
得意げな声色が生徒会室に響く。いやそれさっきから聞いてるからね、ていうか俺しかいないんだからもう言わなくていいだろそれ。どんだけ自慢したいんだよ。
「(自慢っていうか…勝ったことじゃねーよなぁ、言いたいのは)」
俺はお子様イギリスのことなんかお見通しだけど、ここで余計なこと言ってもまたキャンキャン吠えられるだけだし対応が面倒なので黙っておこう。さすがお兄さん大人!
学年末試験なんて実施の必要性が全くもって理解できない。俺は勉強はやればできる方だけど、やりたくないからやらない。…そこ言い訳とか言うなコラ!だってそうだろ?せっかくの青春時代、遊ばなきゃ話にならない。…オッサンじゃねえって。高校生だって。
「あーはいはい良かったねー、分かったからさっさと書類片付けてくれよ」
会長のサインがないと副会長の俺まで動けないなんてハタメーワクなことだ。イギリスと生徒会室で2人になったってなーんにも良いことなんてないのにわざわざ仕事しに来る俺って実は模範的生徒?
「うるせーな、今やってんだよ」
お前との仕事なんてさっさと終わらせたいからなとか呟きながらペンを走らせるイギリス。やっぱこいつ黙ってたら可愛いよなぁ、喋ると台無しだけど。女の子が微妙にこいつを支持するのも分からないでもない。顔だけな顔!総合すれば俺の方が全然魅力が上だけど。
「あーあ、俺もロシアに勝ちてーなー1科目ぐらい」
「ロシアぁ?あいつとテスト勝負かよ…お前何だかんだ言ってロシアと仲良いよな」
…仲良い?
「別にそこまでじゃないけど」
「嘘つけよたまにツルんでるだろ」
「そーかねぇ…」
そんなこともないと思うけど。何よりこいつが俺の交友関係に口出してきたのが意外。喋ってる暇あったら作業進めてほしいなーっていうのが本音だけど、今は言わない方が良いのは重々承知してる。
「あいつ結構頭良いから勝負の対象にしやすいだけだぜー」
「ふーん」
そう言うとイギリスはまた会議資料を読み始めた。
「何ー?実は俺のこと気になっちゃってる?」
「なっ、んなわけねえだろ黙れヒゲ野郎!!」
一蹴かよ。冗談に決まってんだろー頭固いなぁイギリスちゃんは。
ちゃんとの勝負になんでそんなに躍起になるのか、お兄さんが知らないとでも?
(こいつの態度見てて気付かなかったら相当鈍感だよなぁ)
スペインなら気付かないかもしれないけど。
イギリスはまだなんかプンスカしている。……なんかつまんねぇなー面白いことねえかなー。

ちょっと引っ掛けてみますか。

「そう怒んなって…ジョークだろー?」
「うるせぇな、お前が変なこと言うからだ」
「あーあ、ロシアに勝ちたいなー」
「無視すんじゃねえ!大体好きでもねえやつにそんなに勝ちたいとか執着

る、と続くはずの言葉は、そこで途切れた。

…まさかの自爆?

「へー好きでもないやつとテスト勝負したりはしないもんなのかーなるほどねお兄さん勉強になったー」
「なっ、あ、」
自分が何を言ってしまったのか気付いたイギリス。顔真っ赤だなーすっげえ。
「別に俺がっ、」
イギリスが何かよく分からない弁解を始めたが、それを遮るようにチャイムが鳴る。
「あ、時間だー俺教室戻るわ。じゃーな」
「え」
まとめて置いてあった荷物を持って、生徒会室のドアを開ける。分かりやすくてお馬鹿なイギリスはまだ硬直状態。

「せいぜい頑張れ!」

その言葉と、ウィンクを残して部屋を出る。コレかっこよくない?
でもさぁせっかく誘導尋問しようとしたのに、先に言っちゃうって、どうなの。





引き金くらい
__ひかせてくれよ

(そんで、今度は俺と勝負しようぜ)